お尻(ぢ)

当院の肛門診療

痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻(あな痔)、脱肛、肛門周囲膿瘍等外科的な病変から、湿疹や真菌症など皮膚科的な病変まで、それぞれの病状に応じた診療・治療を行います。女性など実は膣など女性器の病変だったりすることもあり、婦人科領域の知識もある程度必要となります。また、痔疾患の原因として便秘は大きな要因の一つですから、痔の治療と平行して便秘の治療が必要になることもあります。このように肛門疾患にはお尻だけにとらわれない診断、治療が必要なことも多いです。当院ではさらに小児の肛門疾患についても診療を受け付けております。子供の場合は、症状のある時にスマホで写真など撮ってきてもらうと診断もつけやすいです。

時折、肛門からの出血を痔だと思って放置し、直腸・肛門のがんが進行した状態で発見される方もいられます。
病院にかかるのが恥ずかしいと思わない人はいないでしょう、が勇気を出しての受診をおすすめします。

どうしても恥ずかしい方は、ご相談のみでも結構です。それだけでも何らかの情報にはなりますし、ある程度診断がつくこともあります。どういう検査が説明することもできます。

    

痔の種類

いろんな肛門の病気を総称して「痔(ぢ)」と呼んでおりますが、多い疾患は「いぼ痔 」「切れ痔 」「痔ろう 」の3つです。ひとつひとつ治療法は異なるのはもちろんですが、同じ痔核でもいろんな治療法があります。実際には自分がどのタイプの痔なのか判断しにくいこともあり、症状にあっていない市販の薬を何年も塗っていたり、放置して悪化させてしまったりする方もおられます。恥ずかしい部分でもあり「肛門科は敷居が高い」と思われるでしょうが、実は薬局で痔の薬を買うよりも、肛門科の敷居をまたぐ方が簡単です。最近の肛門科はプライバシーに配慮がされていて、検査時の姿勢も羞恥心を考慮し、治療を行なう事がほとんどです。そして何より自分の悩みの原因はこういうことだったのかと納得できますし、治療法がわかって気分的にもスッキリされる方が大半です。痛み、かゆみ、出血、残便感等の症状がありましたら、一度診察にお越し下さい。

  • いぼ痔(痔核)
    いぼ痔(痔核)痔核には歯状線よりも上の部分に出来る内痔核と下の部分出来る外痔核が存在します。痔核は、肛門の静脈の血行が悪くうっ血することによって膨らみ、いぼのようになったものを指します。痔核の状態によって1度~4度までに分けられます。大きさ、進行度により治療の方法が変わります。初期の段階は腫れを抑える薬を使います。それでも繰り返す場合、症状のひどい場合は当院では注射で痔を固めてしまう日帰り手術(ALTA療法)をお薦めしています。大きく成長してしまった痔核には注射が効きませんので切除が必要となり、その場合術後の痛みや排便管理のために入院が必要となることも多いので、その前の段階での治療をお薦めします。
  • 切れ痔(裂肛)
    肛門にできた切り傷を裂肛と言います。硬い便によって肛門の皮膚が裂けたりしてできることがほとんどですが、ほかにもいろんな原因が考えられます。元々はただの怪我でしょうが適切な治療がなされない場合、慢性化し潰瘍になったり、皮膚痔や肛門ポリープができたり、長期に及ぶと肛門が硬くなったり狭くなったりすることがあります。そうなると外科的な治療が必要なりますし排便困難などの後遺症の可能性を考えると、一度は専門の病院での診察をお薦めします。また下血は肛門に限らず、がんやポリープ、腸炎など直腸、大腸の病変からの可能性もあり、場合によっては命に関わることもあるため自己診断は危険です。必ず出血源の診断を受けるようにしましょう。
  • 痔ろう
    直腸と肛門の境目にある粘液を出すための小さなくぼみに大腸菌などが入り込み、肛門の周囲に膿が溜まったものを痔ろうといいます。膿んだおしりの皮膚が破れて膿が出たり、肛門痛を起こしたりします。膿の出口を作ってやる、菌の入り口をふさぐ処置が必要なため手術が必要となります。一方、肛門周囲膿瘍は菌の入口が直腸にはないので膿の出口を作ってやることで治ることもあります。いずれにしても、ばい菌の感染が原因の疾患ですので、外科的な治療が必要です。